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第1回:頭をぶつける!?(子供編)

今まで頭を一度もぶつけたことがない、という人はほとんどいないでしょう。転んで頭をぶつける、車のトランクに頭をぶつける、交通事故でフロントガラスに頭をぶつける、など私たちは様々な場面で頭をぶつけます。
では皆さんはどのような時に病院に行こうと考えるでしょうか?
成人であれば過去の経験から病院に行く、行かない、の判断ができるかもしれませんが、例えば小さな子供がフローリングの上で転んで「ごつん」という音がした、息子が夕食の時に「今日柔道の練習中に少し脳震盪を起こしたんだよね」と話している、おじいちゃんが雪道で転んで帰ってきた、などは病院に行かせるべきか否かで大変迷う例だと思います。
今回の病気の話では、この“頭をぶつけた”時の対処法を2回に分けてお話します。
まず一回目は、「子供の頭部打撲」と「スポーツによる頭部打撲」についてお話します。

 

■子供の頭部打撲

子供はよく動きますから頭もよくぶつけます。様子を見て大丈夫なことがほとんどですが、病院に連れてこなければならない場合や判断に迷う場合も時々あります。まずは病院に連れて来たほうが良い症状を羅列してみましょう。

では次に病院にくるかどうかが迷う症状を羅列してみましょう。

頭痛やめまい

子供は頭をぶつけた後によく頭痛やめまいを訴えます。痛い場所を冷やす、もしくは市販の痛み止めを使うことは対応としては間違っていません。しかし頭痛やめまいが半日以上続くようでしたら病院を受診させましょう。

嘔吐

頭をぶつけた直後から1-2時間くらいまでの間は子どもはよく嘔吐します。2時間を過ぎても嘔吐を繰り返すようでしたら病院での検査が必要になります。

眠気

頭をぶつけて大泣きをしたのちに子供は眠たくなります。無理に起こしておく必要はありませんが、必ず1時間ごとに起こして反応に異常がないかを確かめてください。頭をぶつけてから4時間までは意識のチェックをする必要があります。4時間までに異常がなければ多くの場合、様子を見ても大丈夫です。

 

病院を受診した際に全ての子供に画像検査(CTやMRI)をするわけではありません。なぜなら例えば頭部CTの被曝量は胸部X線撮影の約100倍と言われており、特に小児では発癌リスクが無視できないと昔から言われているからです。最近では“何かあったら困るからCTを撮ってほしい”と言われる親御さんも多いのですが医師が診察し、CTが必要だと判断した時にのみ撮像するのが正しい診療だと言えます。

ただ2歳未満、特に1歳未満の乳児の場合は画像検査を先行させることがあります。この年代の子供達の症状を見極めることは大変難しく、また保護者が子供を落とすといった特殊な頭部打撲が多いためです。図1は子供を抱いていたお母さんが足を滑らせて転んで、お母さんの肘が子供のおでこにぶつかってしまいました。子供は元気だったのですが、CTを撮ると骨折が明らかになりました。骨折部位はその後自然に整復されました。

 

■スポーツによる頭部打撲

昔、ラグビーの選手が脳震盪をおこすと魔法のヤカンなるものが登場して頭からジャーっと水をかけたものです。選手は元気になって立ち上がり、観客は拍手で選手を送り出していました。これは現代ではおこなってはならない脳震盪の対処法です。スポーツによる頭部外傷では脳震盪がもっとも多いのですが、症状は多彩で必ずしも意識を失うわけではなく、頭部打撲のあとの頭痛、めまい、浮遊感、視野変化、日光過敏などの症状も脳震盪の症状とされています。またこれらの症状は長期(1週間以上)に及ぶこともあります。その中でも頭痛は特に重要な症状で、頭痛のあるうちは競技に復帰させてはならないと言われています。意識消失があればもちろんですが、頭をぶつけたのちに上記の症状が続いている場合には一度病院で検査を受けさせましょう。硬膜下血腫の有無を確認することが重要です。

図2は急性硬膜下血腫のCTです。一刻を争う外科治療が必要になります。
スポーツでの頭部外傷が他の頭部外傷と異なるのは選手が競技に戻ると再び頭部外傷がおきる可能性があることです。特に前回の脳振盪から1週間以内といった比較的短い期間に再び頭部外傷を受けた場合には重症化することがよく知られています。試合が近い時期の選手は競技復帰を強く希望しますが、段階的に競技復帰させることが重要です。脳振盪後には最低2日間は十分な休息をとらせます。その後ウォーキングなどの軽い運動を始めてみます。これで頭痛やめまいなどが出なければランニングや接触プレーのない運動を許可します。最終的にはメディカルチェックを受けた後に競技復帰となりますが、この過程に少なくとも1週間以上をかけることが必要です。
正しい知識でスポーツによる重症頭部外傷を防いでほしいと思います。

 

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