東京オリンピック2021が終わってからSDGsという言葉をよく聞くようになりました。企業によるテレビコマーシャルでも盛んにSDGsが叫ばれています。おそらく病院はSDGsに最も遠いところにいる可能性があります。一日中消えることのないデスクトップPC、稟議・議事録での大量の紙の使用、進まないDX、使い捨ての高価な医療材料など問題は山積しています。再生エネルギーを考慮して建てられた病院などは数えるほどしかないでしょう。
私たちはこの2年間新型コロナウィルス感染症を経験し、持続可能な環境の重要性を思い知りました。社会医療法人として、持続可能な社会への積極的参加は、自院が持続可能であるための必須要件と考えています。ヒューマンリソースを無駄に消費しないための新しい働き方への取り組み、リスクマネージメントによって危機から回復できるレジリエンスの取り組み、病院の価値を高めるイノベーションの取り組みなど、我々が取り組んでいる課題をご紹介します。
SDGsとは
SDGsは Sustainable Development Goals の略で「持続可能な開発目標」という意味です。2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた国際目標となっています。2030年までに「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指し、17のゴールから構成されています。持続可能な開発目標にはそれぞれ相互関係があり、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、私たちが直面する世界的な課題が含まれています。
私たちのSDGsへの取り組み
法人理念である「信頼と尊敬の医療」に基づき、本業である医療・介護・健康についての取り組みを通じて、SDGsを積極的に掲げ健康だけでなく環境や教育などへの取り組みを積極的に行っております。
外国人技能実習生の受け入れ
グローバルパートナーシップの一環として、外国人技能自習生の受け入れを積極的に実施しています。
現在実習生は、2020年11月からインドより3名、2022年9月よりミャンマーより3名が来日、母国のインドやミャンマーへの技能伝承を目指し実習を行っています。母国での看護師などの様々な経験を背景に、脳卒中を中心とした日本の介護技術習得に励んでいます。
私たちは超高齢社会を迎え、医療や介護の担い手不足を実感しています。私たちは目の前の社会課題、更に今後の未来を見据え、THINK GLOBALLY, ACT LOCALLYでSDGsに貢献して参ります。
それでは、2年目を迎えた実習の状況を、インドからの実習生のシャンピさん、チュイさん、シャンさんに聞いていきます。(2022年6月現在)
環境に配慮した物品の購入&つかう責任を全うする取り組み
私たちは多くの消耗品を消費します。現在使用しているコピー用紙、ペーパータオル、トイレットペーパーは積極的に再生紙を使っています。特に大量に消費する医療材料は、仕入から現場に供給する全ての過程で、効率的で無駄のない物流網の構築、院内配送や棚の管理に努めています。「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任つかう責任」「陸の豊かさを守ろう」を実践しています。
私たちは新型コロナウィルス感染症を経験する中で、急激に物資が枯渇することを経験しました。物流網の連携で地域医療が成り立っている現実を体験しました。私たちは「つかう責任」を全うし、持続可能な社会になる様に、これからも積極的に参加して行きます。
フードロス対策への取り組み
社会医療法人柏葉会(以下、柏葉会)は、コロナ禍等による牛乳消費の低迷が北海道の酪農に大きな打撃 を与える中、少しでも牛乳消費を拡大しようとの趣旨で始まった北海道産食品消費拡大プロジェ クト、2年目(北海道新聞協賛)北海道産食品応援キャンペーン「ミルクにカンパイ!感謝を込めて」に賛同し協賛及び活動に参加しています。
また私たちは法人内にフード事業部を設立、環境負荷の少ない農業を実践している生産者の皆さんと協力し、野菜などの低農薬でありながら高品質食材の選別から外れた規格外の食材を、職員食堂の食材として取り入れています。
私たちは『医療』支援と同様に『食(フード)』の分野において地元北海道(石狩厚田・中富良野・栗山等)地場生産者と直接的に繋がり、低農薬野菜の規格外品・過剰生産品をはじめ魚介類・肉類など見た目は不格好でも品質や鮮度、食味は全く問題のない生鮮生産品を職員食堂の食材として利用し、また院内マルシェを開催し患者様並びにそのご家族・近隣住民の方々や職員向けに対しお手頃なお値段で販売を行ってきました。私たちは微力ながらこれらの生産品消費活動を通じフードロス軽減に寄与し、将来にわたる地域経済の継続的な雇用確保に貢献することを目的としています。
また当院は、2024年12月(予定)札幌リードタウン平岸ベース内に新病院「札幌柏葉会病院」を開院いたします。これに伴い、私たちは石狩厚田産の希少価値の高いブランド『望来豚』と厚田漁港で水揚げされた『蛸』を利用した新病院開院記念品・レトルトカレー『つながルーカレー』の製造を行いました。食材として利用している「望来豚」は環境に配慮された餌として、食品会社等で出る未利用資源(規格外の食品や工場からでたロス)の乳製品やジャガイモ等北海道産の原料を中心に使用し育成されています。
また当法人は2024年6月より新たな試み・当院の入院患者様向け入院食においても、石狩厚田産米の利用をスタートし、これを皮切りに将来にわたり新鮮な生鮮品をご提供していく事としています。
今後も継続的な活動を通して将来にわたり貢献していきたいと考えています。