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第1回:備える

平成30年9月6日未明、北海道に経験したことのない規模の地震(北海道胆振東部地震)がおきました。震源地に近い厚真では多くの人命が失われました。心からお悔やみ申し上げるとともに今後我々にできることを考えたいと思います。

9月6日午前3時7分に下から突き上げるような衝撃で目を覚まし、その後大きな横揺れが続いた時には最悪の事態も脳裏をよぎりました。家族の安否を確認したのちにすぐに当直医に電話を入れ院内を巡回するように指示し、真っ暗な札幌の街を駆け抜け病院へ向かいました。自宅のある北区から病院のある豊平区までの間、ほとんどの信号が消えているのを目の当たりにして深刻な事態が起きていることを覚悟していました。私が到着した時にはすでに多くの職員有志が、交通網が遮断されている最中に病院に集結してくれていました。院内の巡回、怪我をした救急患者さんの対応、自家発電の管理、備蓄食材での患者さんへの食事の準備、在宅患者さんへの連絡等、職員が総力をあげて難局に立ち向かってくれました。職員一人一人が“柏葉プライド”を発揮して働いてくれたことを誇らしく思います。

一方、今回のような震災に対して当院の“備え”が十分だったのか、と言われれば問題点も数多くありました。災害時の為の懐中電灯は複数個が使用できませんでした。院内にラジオがなく情報から隔絶されました。自家発電のための灯油のストックが十分ではありませんでした。そして何よりも私自身がこのような災害の際にどのような陣頭指揮をとるかのシミュレーションができていなかったように思います。地域に根ざした当院の矜持を示すべく様々な“備え”を今後していくことを改めて誓った次第です。

今回被災された方々にお悔やみ、お見舞いを重ねて申し上げるとともに一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。